不在

坂の上の雲』のドラマ、9回まで終わりました。
結局、第2部には漱石は出てきません。子規亡き後、戦争を相対化してみる人はでてこないのでしょうか。
第1部では、松山に帰省した真之と、当時松山に赴任していた漱石とが出会う場面があります。たしか、原作では二人は出会わないままだったと思っていたので、ここで漱石を出すということは、子規のあとに出すつもりの伏線ではないかと思っていたのです。
けれども、第2部では、英国に行った真之とも会わず、結局漱石は登場しないままです。漱石の戦争観については、水川隆夫さんの『夏目漱石と戦争』(平凡社新書)が要を得ています。戦争を単純に肯定することのなかった漱石がドラマにでれば、それはそれでおもしろいのではないでしょうか。
第9回も、ロシアが日本の主張を認めることにしたのに、それが日本側に伝わらずに国交断絶に至ったのだとはっきりと描かれたことは、けっこう大事です。山田朗さんの『これだけは知っておきたい日露戦争の真実』では、届かなかった理由の一つに、日本側による妨害をあげていますが、ともかく、ロシア側が譲歩する用意があったことをしっておくのは大事なことです。
さて、来年もドラマは続きます。どういう世界をえがくのでしょう。