広告・宣伝

加藤周一著作集』18(平凡社)です。
もともとこの著作集は、1978年に刊行が開始され、そのときは15巻だったのですが、その後、1990年代に9冊追加して、全24巻となりました。ところが、その中の第18巻が未刊のまま加藤さんは逝去され、しばらく中断状態になっていたのが、今回刊行されたということです。
内容は、近代の日本文学についてで、いろいろな文学者とのかかわりのなかで生まれた文章が収録されています。
その中で、いろいろな全集類の推薦文も収められています。これに関しては、加藤さんみずから、著作集15巻(1979年)の中の、〈追記〉の中でこんなことを書いています。「資本主義の発達は、また広告業の興隆を伴う。書物の広告、全集の見本に提灯もちの文章は、すべて短い、そこに序・跋・記・伝の伝統を、活かすことができる。はるかに石川淳の名文には及ばずとも、文士の端くれとして応分の努力はしてみようというのが私の志であり志によって成ったのが、『私の広告文』である。文は長きを以て貴しとせず。非資本主義的原則は、資本主義的制度を通じても、あらわれるだろう」
そして、第18巻の〈広告文〉の最後が、新日本出版社の『宮本百合子全集』の推薦文だというのも、なかなか意味深いものがあります。前に、岩波の『加藤周一自選集』についてふれたとき、パンフレットの推薦文が水村美苗鶴見俊輔の二人だけだったのを、ひところに比べてパンフレットの内容が貧弱になったということを書いたおぼえがありますが、今回、『加藤周一著作集』完結にあたっての平凡社のパンフレットには、内容紹介だけで、推薦文が全くついていないありさまです。その意味での、さびしさは、これからますます強くなるのでしょうか。

宣伝といえば、学習の友社から、北村隆志さんの本が出たそうです。ただ、ジュンク堂の検索にも19日の段階でひっかからず、20日の彼岸の入りに檀家寺に墓参した帰りに、神保町に寄ってみたら、友好堂はお休み、三省堂東京堂の検索にも〈該当なし〉という結果です。まだ一般書店には出回らないのでしょうか。『しんぶん赤旗』での広告には、発売予定日が書いてないので、実際のところどうなのでしょう。〈未来〉さんのブログでは、もう読了された感想が載っていましたが。