切り口

『仙洞田一彦のショート・ショート集』(青磁社、1985年)です。
仙洞田さんが労働組合の機関紙に書いたものをあつめたものです。最初のころの作品には、オチをつけようとして、うまく回りきれていないものもみえますが、だんだんと焦点が定まってくるように見えます。
発表媒体の性格から、職場の現状を批判的に展開する作品が多いのは当然ですが、そこに、労働者のいろいろな姿をみることができます。ショートショートという形は、あまりハッピーエンドにはできないので、それが逆に、労働者をめぐる状況を浮き彫りにしています。
作者にしてみれば若書きなのでしょうが、けっこうおもしろく読めるものでした。