決断

針生一郎さん、死去。
最後の『新日本文学会』議長として、組織の幕を引くことをしたかたです。
20年ぐらい前でしょうか、たしか『赤旗評論特集版』に、宮本顕治さんの文章が載りました。それは、雑誌『新日本文学』の復刻版の刊行に関してでした。『新日本文学』の復刻版を刊行する計画があって、著者や著作権者の許諾を求める手紙が、宮本さんに届いたのでしょう。そのときの計画は、復刻に〈解説〉をつけて刊行しようとしたものだったのでしょう。
宮本さんは、その〈解説〉が、一方的な見解を流布するものとなることを懸念して、〈解説〉なしの復刻を求めたと記憶しています。結果的に、復刻版は〈解説〉のたぐいの文章は一切なしで刊行されることになりました(たしか、第三書館が発売元だったはずです)。この決定をしたときも、新日本文学会の議長は針生さんだったはずです。
最晩年の『徳永直文学選集』(熊本出版文化会館、2008年)の〈解説〉は徳永に酷なことをいっているように思いましたが、それが最後の仕事だったのでしょうか。