生活感

ナタリア・ギンズブルグ「モンテ・フェルモの丘の家」(須賀敦子訳、河出書房新社『世界文学全集』所収、2008年、親本は1991年、原本は1984年)です。
書簡体小説で、かつてさまざまな関係を結んでいた人びとが、切り離されながらも、何か結びつきを得ようとして苦しむ話です。
書簡という形式は、描写や説明を、排除しようとすることも可能なので、この作品の登場人物たち、何かかすみを食って生きていそうな感じもします。50代に手が届こうというひとたちにしては、おとなになりきれていないというか。それがある意味、現代の〈先進国〉に共通するようなことなのかもしれません。〈7掛け説〉は、イタリアにもあるのかもしれませんね。
夏目漱石は数え50歳で亡くなったということが、ちょっと迫ってくるようにもなってきましたし。