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脇田晴子さんの『天皇と中世文化』(吉川弘文館、2003年)です。
寺社や芸能のさまざまな分野で、公家文化があこがれとされ、天皇の権威をほしがるようすが、実証的に追究されています。その点で、すっきりとわかるという本ではないのですが、天皇という存在を室町時代のひとびとがどのようにかんがえていたのかをおしはかることはできます。
文化や芸能、スポーツの面でも、天皇杯だの、天覧試合だのがいまでも『力』をもっているわけですから、そういうものがもっている重さは、常に考えなければならないのでしょう。〈お墨付き〉をほしがるという発想からも、いつかは脱却しなければならないのでしょうし、そのとき、過去の人びとの動きは、知っておかなければなりません。