正統性

『自立へ向かうアジア』(狭間直樹・長崎暢子、中公文庫世界の歴史27、2009年、親本は1999年)です。
第1次大戦から第2次大戦への期間の、中国とインドを扱っています。狭間さんが中国、長崎さんがインドの担当です。
大まかな流れや、文学作品などで、当時の中国の状況は知らないわけではないのですが、こうしてきちんと語られてみると、結構知らないことも多かったのだなとも思います。そのひとつが、1912年から13年にかけて行われた、中国の総選挙のことです。
1912年2月、前年の辛亥革命をうけて、宣統帝が退位し、清朝が滅びます。そして、中華民国が成立するのですが、秋から国会の選挙がはじまったというのです。孫文を中心にした国民党が、その他の党派をおさえて過半数を獲得したというのです。ところが、国会は、大総統の袁世凱によって、骨抜きにされてしまいます。そして、その後総選挙は行われなかったというのです。
インドでは、1947年の独立後、総選挙で国民会議派が多数を占め、ネルーを首班とする内閣ができました。インドでは、軍が内政に口を出すことなく、クーデターもおきません。もちろん、パキスタン分離という結果、インドがある種の色分けされた社会になったことも一因でしょう。
これに、ロシアの十月革命のあとの憲法制定議会の解散をあわせて考えると、権力の基盤とはなんだろうかとも考えてしまいます。後付けでいうのは簡単ですが、権力をかちとった力の本質の問題にもなるのでしょうか。チリのアジェンデ政権の例もあります。
日本でも、足立区は、吉田万三さんが区長のときは、やっぱり合法的にひっくり返されてしまいましたし。