たたかい

笙野頼子さんの『海底八幡宮』(河出書房新社、2009年)です。
金毘羅になってからの笙野さんの作品は、すぐに読むという感じではなくなってきているので、今回も、本が出てからしばらくたっています。今回はヤマトに組み込まれてしまった神が登場して、主人公の老猫との日常にからんでいくというしかけの作品になっています。
笙野さんの作品は、ことばを媒介にした、現実とのたたかいだと思っています。それは、文学の多様性を認めない相手であったり、日本の社会の表には出てこない抑圧であったりと、そうした現実を、すこし違った観点からみているのだと思っています。その点では、方法は違いますが、きちんと読むべき作家だと思います。