実際のところ

立松和平さんが亡くなりました。
彼の作品は、実はほとんど読んでないのですが、おもしろかったのは、与那国島にでかけて、サトウキビの収穫をしたときのルポ、『砂糖キビ畑のまれびと』(晩聲社、1985年)でした。のちに環境問題にいろいろと発言をする立松さんの気持ちがよく出ているように思ったものです。
けれども、なかなかほかのものを読もうと思わなかったわけは、やはり『光の雨』(雑誌掲載は1998年)のためでしょうか。盗作問題はさておいて、やはり連合赤軍を正当化するようなスタンスは、どうもなじめません。その後、その辺のことを立松さんはどうまとめていたのでしょうか。
話題になった『遠雷』や、続編の『春雷』(いずれも河出書房新社)も、どこかで立松さん自身が、〈ビニールハウスのトマトで農村が生き返るわけがない〉というような、自作を否定するような発言をしていたのをどこかで読んだ記憶があって、どうだろうと思ったものです。