かぶってくる

この前、『ストリートの思想』の著者が、『ロスジェネ』の人たちに全体主義のにおいを感じていると考えていることを書きましたが、『文藝』春号で、立木康介(ついき こうすけ)さんという方が、「露出せよ、と現代文明は言う」という文章のなかで、ともひろさんの事件を、社会問題にすることは「同じような不満を抱えながら真摯に仕事に打ち込んでいる非正規雇用労働者たちをいかに侮辱するものであったかは言を俟たない」と書いています。問題を社会的な視野におこうということへの、まきかえしともいう方向があるのでしょうか。
と、考えていたら、BS2で、20周年セレクションのような形で、「ボヘミアン・ラプソディ」を取り上げた番組を再構成していたのですが、あらためてあの歌を、1975年の、不況にあえぐイギリスの状況と重ね合わせてとらえているのが、番組が放映された2002年よりも、より緊張度を高めて見えてくるような気がします。歌詞も、ともひろさんの事件とかぶらないこともなさそうですし。その点では、タイミングがよすぎるような感じもあります。