ちょっとした気づき

中川なごみさんの『巣立ち』(民主文学館)です。
作者は看護助手として長く働きながら、作品を書いてきた方です。早くなくなられた妹さんのことを書いた作品や、看護助手としての生活を書いたもの、日常の中の一瞬を切り取ったもの、などの短編が収録されています。
人生を規定するものの中には、大きな社会の動きもありましょう。けれども、そこを直接衝くというのでは必ずしもないのですが、生活の側面を描く中で、背後にある社会の問題を考えさせるという、短編ならではの着眼が、中川さんの作品からみえてきます。そうした目を持ち続けることが、短編を書く上で大事なのではないでしょうか。