実のところはひょっとして

学研の『学習』『科学』誌が休刊するそうです。
1970年代までは、学校で販売していたので、買いやすかったものです。それが強みでもあったのでしょう。
けれども、それができなくなって、家庭に販売員が訪問して直接届けるという形になりました。それも、だんだん先細りになったのか、書店での販売と直送の形になりました。そこに、世間の変化をみることはたやすいでしょう。
けっこう、子どもの『学習』『科学』の中には、こちらが読んでも勉強になるものもありました。あさりよしとおさんの科学マンガなど、参考になります。そうしたものを生み出したことは、評価してよいことでしょう。

けれども、あまり報道では触れられていませんが、もう少し、つっこんでみてもいいのではないかと思います。それは、〈ライバル〉の存在です。
うちの子どもたちは、学研のお世話になっていたのですが、最初はまだ学齢期になる前に、幼児向けの教材を届けてもらっていました。この分野では、おおきなライバルがあります。それは、〈しまじろう〉というトラの子どもをキャラクターにした、進研ゼミなのです。
進研ゼミは、幼児のころからダイレクトメールを送ってきます。最初は、けっこう豪華で、〈しまじろう、ラッコに会いに行く〉という内容のものがたりがはいったカセットテープがきたこともありました。〈しまじろう〉を主人公にしたアニメも、テレビで放映されています。それに対して、学研のほうは、そうした有名なキャラクターをもっていません。幼児期に〈しまじろう〉に親しむと、そのまま進研ゼミを小学校にはいってからも続ける可能性は高いでしょう。もちろん、〈しまじろう〉はあくまでも幼児向けの教材にのみ登場し、小学生むけのものには出てきません。
かつては、学研は学校と結びついていたので、そうしたライバルを意識する必要は少なかったのでしょう。しかし、そうした要因がないところで、〈しまじろう〉と争うのは、大変だったことでしょう。なにせ、相手は、〈しまじろう〉で多摩センターの駅の近くにおおきなビルを建てる力をもちながら、採算がとれないからか、平然と文芸誌『海燕』を廃刊にし、文芸書や文庫本の出版から手をひいた、したたかな相手なのですから。