あとでつながる

ウィキペディアをなんとなく見ていたら、今日はプルーストの死んだ日だそうです。
失われた時を求めて』は、ちくま文庫井上究一郎訳、1992年から93年)でやっと読んだのですが、ドレフュス事件はでてくるわ、第一次世界大戦への批判的言及はあるわと、予想以上に社会と切り結んでいることに驚いた覚えがあります。篠田一士さんの批評はけっこう読んでいたのですが、そうした観点からのプルーストへの発言はあまりなかったような感じがあったのです。
ところが、最近、久しぶりに加藤周一さんの『言葉と人間』(朝日新聞社。1977年)を拾い読みしていたら、『失われた時を求めて』が取り上げられていて、そのときのテーマが、「戦争文学」だったのです。加藤さんは、「戦時中の『愛国的』熱狂を冷静に観察し、その社会病理学的現象を記述して、文学作品としての傑作を作り得たのは、わずかにカルル・クラウス Karl Kraus とマルセル・プルースト Marcel Proust である」(引用は著作集第15巻、p195です)と書いています。
そのときは読み流していたのですね。
でも、ちくま文庫の『プルースト評論選』(保苅瑞穂訳、全2冊、2002年)はあまりおもしろくはなかったですね。