まなざし

浅尾大輔さんの『ブルーシート』(朝日新聞出版)です。
『民主文学』から2作、『新潮』『小説トリッパー』から1作ずつ集めた、小説集です。
作品の舞台も、彼の故郷の東三河から2作、東京から2作と、浅尾さんの視点がみえるものになっています。いくつかの作品は、若干改稿されているようで、東三河日系ブラジル人労働者の生活を描いた「永遠の明日の国」は、初出よりも読みやすくなったという印象があります。
彼が、今の時代を生きる若者の苦しみに寄り添いながら、作品を作ろうとしていることがよくわかる作品集です。形になることで、みえるものがあるというのも真実の一面ですから、この本が、新しい読み手を作り出していくことを期待したいものです。