調べつくす

早川孝太郎(1889−1956)の『花祭』(講談社学術文庫、親本は1968年、もともとの本は1930年)です。
この祭は、天竜川流域の、奥三河・南信濃・北遠江のあたりに伝わる祭で、旧暦11月に、鬼の面などをつけ、夜を徹して舞うという祭なのだそうです。
著者は、三河の今でいう新城市浅尾大輔さんの出身もこのあたりでしたね)の出身で、柳田国男の影響を受けて、民俗学に関心をもち、地域の民俗を調査したというのです。講談社の学術文庫にも、以前『猪・鹿・狸』が収められていました。
この地域に伝わる祭(そういえば、中村真一郎の『火の祭り』の素材になったのも、この祭りだったのでしょうか)を、著者は各地を跋渉して調べます。そして、傾向をまとめていくのです。
それが、80年後の今日でも、その地域の実情を知ることができるものになっているのです。祭り自身は、今も当時そのままではないにせよ、生きているのだそうですが、そうした、伝統の継承ということも考えさせます。