同音

『古在由重著作集 第6巻』(勁草書房、1967年)からです。
この巻は、1944年の日記がメインなのですが、戦時中や獄中でのメモなど、いわば雑纂的な巻ですが、そのなかに、戦時中の回想があります。ある知り合いにあった古在さん、
「最近は碁学ばかりやっているよ」
ある人「ふむ、ロシア語でもやっているのか」
古在「いや、碁学というのは、囲碁なのだよ」
ある人「伊語か。イタリアも同盟国だから、そこのことばは大切だよな」

勘違いではあるでしょうが、会話が形として成り立っているのが、ある意味、こわいことですね。