観点

半沢隆実さんの『銃に恋して』(集英社新書)です。
アメリカ社会で、銃がどのように意識されているのかを探ったルポです。日本人でも、とても簡単にアメリカでは銃の保有の許可がおりてしまうなどの、現実がさまざまな形で記されています。
アメリカ人からみると、日本社会は、警察に管理されていて、決して自由ではないのだというのです。人民は武装しないと、権力に対抗できないという考え方もあるようです。

アメリカは、日本の戦国時代のような、同族がお互いに火器をもってたたかうという経験を、南北戦争しかしていません。そこに、ちがいがあるのかもしれません。日本が、戦国時代にした経験は、江戸時代には、『火薬は人に対しては使わない』という暗黙のルールとなって社会に生きてきました。百姓一揆の弾圧に銃器が使われたのは、どうも1860年代になってからのようです。(前にあげた『民衆運動の思想』に収録された、各地の百姓一揆の記録をみても、火器はお互いに使わないのが前提になっているようにみえます)

そうした違いをきちんとみていかないと、安易に『国際社会』などどはいえませんね。