長期展望

滝いく子さんの『団地ママ奮戦記』(新日本新書、1976年)です。
著者は、1965年に小平団地(行政上は小平市らしいのですが、交通面では武蔵小金井駅(中央線)からバスでいくところのようです)に入居し、そこで自治会をつくっていろいろと活動したことをまとめたものです。
初期の公団住宅ですから、焼却炉が棟ごとにあったり、ダストシュートが設けられていて、当初は生ゴミを直接放り込んでいたとか、今とはずいぶん違うような姿も描かれています。自治会も、〈アカ攻撃〉をして、分離して別組織を作る人もいたとか。

こうした公団住宅、30年経った今では、多くのところで住民が高齢化しているようです。この本の時代では、まだ小学校がマンモス化して大変だという時期なのですが、きっとここも、学校は閑古鳥が鳴いているかもしれません。
こうした大規模集合住宅地をつくっていったわけですが、その人たちが、何世代にもわたって住み続けると当時考えられていたのでしょうか。それとも、単なる一時しのぎの政策だったのでしょうか。個人の持ち家なら、古くなったら建て替えればすみます。しかし、そこで育った人たちが、そこから出て行った場合、家主の公団は、古くなった住宅を新しい人たちに住んでもらわなければなりません。そこまで、考えていたのかどうか。