あとづけ

野崎充彦さんの『朝鮮の物語』(大修館書店あじあぶっくす、1998年)です。
朝鮮半島に伝わるいろいろな伝承や物語の概説書なのですが、日本や中国の昔話と類似するものや、遠くヨーロッパに関連するものなど、話題は豊富です。
今の韓流ドラマで、「朱蒙」とか、「太王四神記」とか、高句麗に題材をとったものが多いのも、そうした伝統を追求する気持ちのあらわれなのでしょう。

ところで、朝鮮半島の形をウサギにたとえるというのは、李恢成さんの『見果てぬ夢』に出てきたこともあって、けっこう昔からいわれてきたのだと思っていたのですが、この本によると、李朝時代に書かれた本では、「中国に向かって礼をする老人」の形だといわれ、ウサギだといいだしたのは日本人で、大韓帝国末期(すでに日本に支配される寸前)に出た少年向けの本で、ウサギ説に反論してトラの形状(白頭山のあたりがトラの鼻で、ピョンヤンが前足のつけね、ソウルが腹という感じです)だと唱えたのだそうです。
論者の立場で、いろいろとかわるのは、檀君の位置づけもそうですが、仕方のないことではあるでしょう。