鉄分

『すばる』7月号には、原武史森まゆみ両氏の対談と、川本三郎さんのエッセイが載っています。それぞれの立場からの論考ですが、川本さんは松本清張の『砂の器』を題材にして、対談は森さんの『女三人のシベリア鉄道』を素材にしています。
このところ、新潮社の図鑑も含めて鉄分が世間に豊富なのですが、そうした人の期待にも、それなりに応えているといえましょう。

ところで、原さんの『滝山コミューン一九七四』については、以前書きましたが、この団地の日本共産党支部の取材を、同じ1974年に松田解子さんがしていたのですね。松田解子自選集に、そのルポが掲載されています。そういう点では、原さんの生活していた時代は、複雑だったのしょう。(もちろん、滝山団地のなかにあった小学校が、団地の住民で構成されていた党の支部とは関係ないことはいうまでもありません。ただ、そうした注目すべき土地ではあったということでしょうか)