スケール

佐々木譲さんの『わが夕張 わがエトロフ』(北海道新聞社、2008年)です。
津軽海峡を越えたのは3回しかなく、岩見沢より奥にはいったことがないので、北海道の大きさはなかなか実感できないのですが、逆のこともあるようで、佐々木さんが、織田信長を書こうとして調べたときに、岐阜から安土を経て京都までを、北海道にあてはめると、美唄から札幌を経て千歳まで、というくらいになるので、驚いたという文章が収録されています。
そういうちがいは、ほかにもいろいろと感じられて、エトロフを訪問した(佐々木さんの父君は、千島在住で、ソ連占領軍によって北海道に送られたそうです)ときの記録も、距離感がやはりちがうなと感じさせます。
ほかにも、ソ連崩壊直前のバルト三国訪問記など、けっこう重厚な文集です。
こういう本が、札幌の出版社から出たことも大事ですが、この本を、神奈川の普通の書店で手に入れられたというのも、出版流通のおもしろさでしょうか。