スローガン

かわさき文学賞の会の編集『かわさきの文学』(審美社)です。
1957年から50年間続いて、2006年で休止された、「かわさき文学賞」の、受賞作品(第41回から50回まで)と、担当した人たちの回想などで構成されています。
この賞は、手弁当のような形でずっと行われてきて、最初のころは、「市長賞」とかもあったのだそうですが、田中誠一さん(長年日本鋼管に勤め、民主主義文学の川崎支部の代表をつとめられています)の作品が入賞したときに、右翼から抗議があったために、「市長賞」はやめになったとかいいます。
そんな中で、佐伯一麦さんも、一度受賞されたりするなど、息の長い地域の文学賞として続いてきたのですが、今回、さすがに担当者も高齢化したり、選者をつとめてきた八木義徳・小林久三たちも亡くなられて、というような事情もあるので、休止することにして、この記念誌を刊行したそうです。
川崎も、「音楽のまち」だとかいって、駅の近くに大きなハコモノを建てたりしていますが、こうした地味な活動にも援助をしてくれてもよかったのにと思います。「○○のまち」などと、よくわからないことばかりいう前に、やることがあるでしょうともいいたくなります。