よい材料

『日本鉄道旅行地図帳』(今尾恵介監修、新潮社)です。
まだ刊行中で、完結していないのですが、全12冊と別冊とで、日本列島と旧植民地がカバーできるという形になるようです。
きちんとした縮尺で、現在ある鉄道線と、過去の廃線とが、地図上に描かれていることが売りなのですが、それとともに、データとして、各路線の性質と、それぞれの駅に関しての、開設から(廃止までの)情報がきちんと表記されているところに、重要なポイントがあります。

実は、ときどき思うのですが、過去(明治から昭和まで)を題材とした作品で、史実調べが不十分ではないかと思われるようなものがときどきあるのです。作者は、自分の体験をベースにして書いている場合もあれば、フィクションとして構成しなおしているものもあるのですが、当時存在しない鉄道線や駅が登場したり、逆に鉄道があったはずなのに、なかったことになっていたりというようなことが、まれにあります。そういうところに気を使わない作者には、あれっと思うようなこともあります。

そうした、調べておけば未然に防げるものは、この地図帳で調べることが可能です。そうした心配りも、作品を書くためには大切なのではないでしょうか。

追記
朝日新聞をとってないので知らなかったのですが、書評欄に出ていたのですね。偶然同じ日になったようですが。