うれしくない予測

グラムシ『新編 現代の君主』(上村忠男編訳、ちくま学芸文庫、親本は1994年)をなんとなく読んでいたのですが、こんな文章をみつけました。

世論の正常な操縦を攪乱しようとする要素が出現しているが、それらのなかでも、第一に挙げられるべきものに、黄色新聞と(それが普及しているところでは)ラジオがある。これらは、不意にパニックや作為的な熱狂をひきおこす手段となりうる。そして、たとえば選挙のときに一定の目的を達成するのを可能にするのである。これらのことはすべて、三年か四年か五年ごとに一度行使される人民主権の性格と関連している。ある決められた日にイデオロギー的に(あるいはむしろ情動的に)優位を占めさえすれば、たとえ、その一時の情動が過ぎ去って、選挙人大衆がかれらの法律上の表現から分離することがあっても(法律上の国民と現実の国民とは等しくないのだ)、三年か四年か五年のあいだ支配することになる多数派を獲得するには十分なのである。(訳書333-334ページ)

カッサンドラはトロイが陥落したとき、何を思ったのでしょうかね。