火を消す

ロシアの潜水艦で、消火装置が誤作動して、多くの人か亡くなったとか。
ときどき資料をさがしに、出身大学の図書館に行くのですが(卒業生用の入館カードを持っているので)、そこの研究書庫には、「火災の時には、ハロゲン化合物を噴射するので、すぐに退避してください」という趣旨の注意書きが書庫のあちこちに貼ってあります。考えてみれば、本に水をかけるわけにはいきませんから、酸素をなくすしかないですよね。それと同じことがフネの中で起きたのでしょう。
潜水艦の事故といえば、漱石が佐久間艇長の遺書に感動したというようなことを書いていた記憶があります。日本海軍の草創期に、潜水艦の事故があって、多くの乗組員が殉職したのですが、そのときに、某国海軍で同様のことがあったときには、乗員が脱出口に殺到した状態で亡くなっていたのに、日本海軍は、みんなきちんと持ち場についた状態だったというらしいのです。たしか岩田豊雄の「海軍」にもその話が紹介されていました。
ただ、漱石は、広瀬中佐の遺書の空々しさと対比するために佐久間艇長を持ち出したようなところもなくはないので、それを引き合いに出して、漱石の軍隊への感情を論じるのは危険かもしれません。なにせ、夏目金之助さんは、徴兵逃れのために、本籍地を北海道に移した人ですから。