けっこう大切

メモです。
スタニラフスキーの『芸術におけるわが生涯』(岩波文庫)のなかで、モスクワ芸術座がドイツにはじめて国外公演にいったときに、現地の批評家から好感をもたれたという記述がありました。そこに書いてあったことですが、ドイツでは、劇評家の最初の修業は、「基本的に賞賛する方向で書く」ということなのだそうです。悪口は誰でもできるが、きちんとほめるのには力が必要だというのだそうです。
簡単なようで、実は難しいのが「ほめる」ことですね。たしかに。むかし、中村真一郎が、自分の批評は「オマージュ」だといっていたような記憶がありますが、正しくほめるには技術が必要ですし、そのための覚悟もいります。

もう一つ、メモを。
熊本県知事が、川辺川のダム計画を撤回すると表明したという話です。中里喜昭さんに、『百姓の川 球磨・川辺』(新評論、2000年)というルポがありましたが、そこでは、川辺川のダム計画が無意味だという告発がされていました。もうずいぶん前からのことだったのですね。

もう一つ。
永井潔さんの訃報を知りました。永井さんの芸術論は、北條元一さんの論と比較して検討すべきものがたくさんあるのですが、とてもたいへんな作業になりそうで、ハリソンのものも読まなければならないのでしょうね。課題として大きなものを残してくださいました。