ひとつひとつ

旭爪あかねさんが『女性のひろば』に連載していた「月光浴」が完結しました。
「稲の旋律」「風車の見える丘」に続く、三部作の三つ目に当たる作品で、千華さんを中心にして書いています。
千華さんは、「稲の旋律」の時点では、半分以上ひきこもりの状態になっていたのですが、そこで、千葉県の農村の生活に触れていく中で、徐々に自分の生きるための方法をみつけていきつつあります。ここまでの段階では、まだ萌芽的ではありますが、千華さんは、ともかくも自分の足で進もうとしています。
作品全体の展開としては、いろいろとまだ考えるべき面もあるでしょうし、「月光浴」で世界を少しひろげすぎたところもなくはないのですが、こうした、世間とうまく折り合いをつけられない若者を描こうとしたところに、旭爪さんの現実に対する観点もあるのでしょう。
最近、こうした作品が単行本となって流通するのはむずかしいのですが、何とか、三つの作品を、書籍の形で読んでみたいものだと思います。そのときに、また改めて、考察する必要が出てくるのでしょうが、とりあえず、彼らをつくりあげた作者の労をねぎらいたいと思います。