展開

大野達三さんの『アメリカから来たスパイたち』(祥伝社文庫、親本は1976年)です。
親本は新日本新書で出た増補版で、初版は1965年に出たようです。インドネシアの「9.30事件」より前に出されたようです。
鹿地亘さんがキャノン機関に拉致された話だとか、国鉄の下山総裁が謀殺されたとか、そうした戦後史の闇を追及した本で、なかなかおもしろく読むことができました。
実は、新日本出版社は、新書部門から撤退したようで、この本だけでなく、いくつかの「新日本新書」から出たものが、他の出版社であったり、新日本からだったするのですが、再刊行されることが最近目立ちます。
もちろん、内容が評価されて再刊されるのはいいことなのですが、やはりその際には、旧版と新版との深化した面を何らかの形で表現してもらいたいと思うのです。
というのは、手塚英孝さんの『小林多喜二』が、新日本から再刊されたのですが、解説などがないのです。大田努さんや宮本阿伎さんあたりに、「解説」を書いてもらえば、手塚さんの本の意義も明らかになったのだと思うのですが、その点がもったいないとおもうのです。
それはそれとして、大野さんの本は読むとおもしろいですよ。