突出

浜忠雄さんの『ハイチの栄光と苦難』(刀水書房、2007年)です。
ハイチはカリブ海の島国で、フランス領だったのが、1804年に独立を宣言した国です。しかし、その後は、苦しい歴史が続き、現在では貧困国のひとつになっています。
前に、ハイチについては、ハイチの小説を翻訳した『月光浴』をとりあげたことがありましたが、実際には、フランス語で創作をしても、それを読める人は、人口のうちわずかにすぎないのだそうです。
ハイチの独立革命は、たしかにすばらしいできごとだったのですが、それを維持するためには、フランスに多額の「返済」をしなければならなかったり、同じ中南米スペイン語国からは、「革命の輸出」をされるのではないかと警戒されて、しばらくは仲間扱いされなかったりしたのだというのです。実際、19世紀の中南米の独立は、黒人奴隷ではなく、上層に属する現地支配層によっておこなわれたわけです。
それでも、そうした状況に耐えて、独立をずっと維持してきたことは、それはそれですばらしいことなのでしょう。その点では、フランス語エリアとして中南米の中で独自の動きをしていたことが、幸いしたのかもしれません。
日本では、こうしたカリブ海海域の動きが紹介されることはほとんどありません。その点でも、こうした本はありがたいものがあります。

野党の幹部が、日銀の幹部候補に直接電話をしたとかが問題になっていますが、同じことをいえば、自民党の議員さんが、ドキュメント映画に出演した人に手を回して、圧力をかけたことも同じレベルで問題にしなければ不公平ですよね。