国際的

武満徹対談選』(ちくま学芸文庫)です。
音楽の世界は暗いので、素人めいた感想でしかありませんし、武満さんの作品もよく知らないのですが、そういう予備知識がなくても、楽しく読めます。
文学の世界は、もっていることばによる表現なので、(とはいってもクレオール作家や在日作家の方には申しわけない表現であることは承知していますが)、あまり実感することはないのですが、音楽の世界は、基本的にバイオリンだとか、ピアノだとかという、ヨーロッパ標準の楽器を使って表現することが基本になっているように感じます。音階も、五線譜という、これもある意味ヨーロッパ標準のもので記録されます。
そうした中で、音楽家個人の努力があるのだと考えると、日本でクラシック音楽に携わるかたがたの、大変さを少しは理解できるのかもしれません。巻末に収録された、黛敏郎岩城宏之両氏との鼎談のなかで、当時(1982年)の反核運動などをめぐっての意見の相異があらわになっているのも、そうした、音楽とのかかわり方にも関連するのかもしれません。