共通感覚

昨夜は少し激してしまいましたが、もともと書きたかったのは、奥村恒哉(1927-1991)の『歌枕考』(筑摩書房、1995年)だったのです。
著者には、以前『歌枕』(平凡社選書、1977年)があり、この本はその後の論考などをあつめたものです。
歌枕というのは、和歌のなかでその地名を使うことで、特定の情緒や感覚を呼び起こさせるものなのですが、そうしたものが、和歌をつくるときの基本的な教養として、伝承されてきたものなのです。
ある意味、文学というのは、そうした過去の継承がなければ成り立たない側面もあるのではないかと、そうした「基本的な感覚」を認めたうえで、その上に作っていかなければいけないのではないかとも思います。