胎動

伊藤千尋さんの『反米大陸』(集英社新書、2007年)です。
最新の中南米情勢と、アメリカ合衆国中南米政策の歴史を過去にさかのぼりながら分析しています。アメリカの戦争は、ほとんどが謀略的な始まり方をしていることや、「既成事実」をつくりあげるやりかたなど、ある意味では一貫しているように見えるのも、参考になります。こういうものを読むと、「アメリカ帝国主義」ということばは、過去のものではないのだとあらためて実感します。
いろいろと曲折はありながらも、ラテンアメリカのひとたちが、選挙を通して新しい世の中を作り出そうとしているのは、アメリカの影響を受けている日本でも他人事ではないのかもしれません。京都の市長選挙は、聞くところによると、1000票未満の小差で残念な結果に終わったということらしいですが、これも、曲折のひとつの段階なのかもしれません。