すっきりしない

昨年のノーベル文学賞受賞者、ドリス・レッシングの『アフガニスタンの風』(加地永都子訳、晶文社、1988年、原著は1987年)です。
著者が、パキスタンを訪問して、アフガニスタンからの脱出者に会ったり、アフガニスタンで戦っている人たちからの話を聞いたりしたものを、構成したものです。
このアフガニスタンとは、ソ連の侵攻に対しての戦いなのですが、著者の「あせり」(自分たちの意見が西側マスコミではほとんど黙殺されていることへのいきどおり)はわかるのですが、どうも、すんなりそれがはいらない。
ソ連侵攻にいたるまでの経過が、述べられていないということもあるのでしょうし、ソ連侵攻以前から反政府活動をしていた人も登場していて、ソ連の介入と、それ以前の反政府活動とがどう関連づけられるのかが見えてこないということもあるのかもしれません。
この作者の最初に読む本としては、この本じゃなかったほうがよかったのかもしれません。その点では、少し損をした気分です。