方向づけ

若桑みどりさんの『戦争がつくる女性像』(ちくま学芸文庫、2000年、親本は1995年)です。
こういう少し前に出た本をとりあげるときに思うのですが、本が出たときには視野にはいっていなかったということでもあるので、その点では少し気恥ずかしいところもあります。
戦時中の雑誌、特に『主婦の友』の表紙絵などを素材にして、どのような形で女性を戦争に駆り立てるような動きがされていたかということを、イメージ作りという点から追究しています。
戦争での女性の役割を〈チアリーダー〉としての位置づけは、のちに斎藤美奈子さんも『モダンガール論』で展開していますが、そのさきがけでもあったのでしょう。
絵画とか映像とか、そうしたものでひとびとをある方向に誘導しようというのは、どこの国でもみられることで、特に戦時下ではあるわけです。それを実例をもって示していくことで、これからの時代に同じことをさせないように考えていくことが必要なのでしょう。流されていった人を笑ってはいけません。