てのひらを返す

ガンスブールという人の、『ポール・ニザンの生涯』(佐伯隆幸訳、晶文社、1968年、原本は1966年)です。
ポール・ニザンは、1930年代に、『ユマニテ』などに小説を書いたり、反ファシズムのたたかいの先頭にいました。しかし、独ソ不可侵条約をきっかけにして、フランス共産党を離れます。このとき、コミンテルン自体が方針転換をして、各国の党にいろいろと〈指示〉を出したようです。このときのニザンの判断が正しかったかはおきましょう。(異論をもちつつ党にとどまるという選択肢も可能だったのかもしれません)ニザンは1940年に亡くなります。
ところが、戦後になると、生き残った共産党関係のひとたちが、ニザンを当局のスパイ扱いをしたというのです。著者によると、アラゴンの『レ・コミュニスト』のなかで、ニザンをモデルにした人物が、スパイのように描かれているというのです。
そういうこともあるのかとも思います。それこそ、『一九八四年』的な世界だったのでしょうか。