新しい地平

こういう日だから、「開戦の詔勅」でも読んでみようと思ったのですが、どこにあるのか探し出せなかったのです。(小森陽一さんの本には、「終戦詔勅」はあったのですが、開戦のほうは見当たらず、かつて山中恒さんの『ボクラ少国民』のシリーズの中にきちんと収められていたのは思い出したのですが、それはもうずいぶん前に売り払っていて手元にはないし)
というわけで、戦争関連というわけではないのですが、福山瑛子さんの『矢臼別の人々』(私家版)です。
道東別海町自衛隊の演習場の中に飛び地のように住んでいる「長瀬直次」さんを主人公に、2005年の春から秋にかけての時期の、そこでの平和をまもる運動に参加する人たちの姿を描いた小説です。(「長瀬」というのが、実名なのか、仮名なのかを不勉強で知らないので、「長瀬」と表記させていただきます)
自衛隊のみならず、アメリ海兵隊も演習をする北海道のこの土地で、開拓した自分の土地を守って暮していく「長瀬」さんと、それをとりまいて、平和運動にさまざまな形でかかわっていくひとたちが登場するのです。
改憲の動きがさかんになるなかで、憲法九条をまもる輪のなかには、かつて自民党の代議士であったみのわさんも、「長瀬」さんとともに輪をつくっているのです。
そうした、現在の動きを、ほぼリアルタイムに追ったというところが、この作品の読みどころなのでしょう。

この本、私家版なので、書籍コードがありません。奥付にも、発行所も書いてありません。また、著者の住所と電話番号は奥付に書いてあるのですが、ここで無造作に公表するわけにもいかないでしょう。もし、関心のあるかたは、こちらに連絡ください。価格は1300円です。