共通性

青山和夫さんの『古代メソアメリカ文明』(講談社選書メチエ)です。
中部アメリカに栄えた、マヤだとかアステカだとかの文明の現在わかっていることを簡潔にまとめようとしています。
青山さんによれば、ユーラシア・アフリカ大陸に栄えた「四大文明」に加えて、このメソアメリカ文明と、アンデス文明(インカですね)とをあわせて考えることが必要だというのです。
これらの文明には、いくつかの共通点があって、文字・都市・神聖王・戦争・農耕基盤・巨大記念碑的建造物などがあげられるのだそうです。一方、メソアメリカ文明独自の特色として、石器を使っていたこと・大型家畜を使用しなかったこと・車を使わなかったこと・小規模灌漑だったことなどをあげています。
金属を知らなかったわけではないのです。工芸品として金銀銅が使われているというのですから、採鉱・冶金の技術は獲得しているのですが、それを生活用具に使用しようとはしなかったというのです。車も同じで、原理自体は知っていても(それを使った土偶が出土しているようです)、それを生活に使おうとはしなかったというのです。装飾品・工芸品として「光り物」を必要とするとか、ピラミッドの類をつくるとか、人間というのは、お互いの連関がなくても、それなりに発達するものだと、考えさせられます。
こうしてみると、一部のひとたちのいう、「縄文文明」なる概念が、世界史的にみたときには全く通用しない、夜郎自大的なものだということがわかります。