国際感覚

仲尾宏さんの『朝鮮通信使』(岩波新書)です。
巻末の参考文献をみると、今世紀になってから刊行されたものが多く、この分野への理解が最近深まっているのだと思います。たしかに、むかしは新井白石の改革のところで、少し触れられるだけという感じがあったのですが。
国と国との間での、対等な関係というのは、けっこう難しいものだと思いますが、とりあえず、実際の通信使が1811年に派遣されたのが最後ではあるのですが、それが断絶というのではなく、おたがいに、1864年の段階で、1877年に実施することで合意をみていたというのは、発見でした。
そうした、外交上の引継ぎ事項を、薩長の新政府はどのくらい知っていたのかとも思います。欧米列強との間に結んだ条約は、新政府は引きついだのですし、その際に「万国公法」なる考え方も受け入れているのですが、それが朝鮮や中国との関係にはどのように適用されていったのかということが、もっと知られなくてはならないのでしょう。
朝鮮通信使の事跡を発掘することは、必然的に朝鮮王朝(大韓帝国時代もふくめて)との、最終的な関係へと続いていく視点をもたなければならないのでしょう。