切実さ

三浦國雄さんの『風水講義』(文春新書、2006年)です。
研究者による概説本ですから、いわゆるハウツーものとはちがって、風水(特に墓地決め)の発想がどうなっているのかを説明しています。その点では、わかりやすい本ではないでしょう。
父祖の墓をどうするかということは、中国の人にとっては切実なものがあるのでしょう。それが子孫の繁栄にも直接つながるという観点を導入したところに、この思想が受け入れられていくプロセスがあるのだと思います。
そのための方角をみるための〈羅盤〉が発達したのですが、魯迅がそれを嘆いていた文章を読んだことがあります。魯迅は、ヨーロッパでは羅針盤を航海に使い、新しい領土を開拓するのに使ったが、中国では羅針盤を墓地決めに使っていることが、中国が遅れをとった一因だといっています。(初期の文章だと思いますが、いまどこにあるのかが探せません)
こうしたことを考えて、風水も考える必要があるでしょう。