よくよく見れば

的場徳造さんという方の『コルホーズ』(青木文庫、1954年)を読んでみました。もはや、ソビエト連邦なるものもどっかへいってしまったわけで、その農業政策の集団化が当時どうとらえられていたかを考える材料にはなるでしょう。
コルホーズは、いわば生産者が集まって、いろいろなものを共同で使ったり、作業をしたりするというしくみの農場なのですが、この本を読んでみても、実態は集まっていた人たちが、農業労働者と化しているような感じです。つまり、コルホーズそのものが会社的になっていて、そこに雇われているという感じで、あげく「労働日」なる概念があって、働きぶりを点数化しているというのです。なんだ、歩合制じゃないかということですね。これじゃ働きたくなくなってもしかたがない。
今回ベトナム訪問をした共産党の幹部の人たちが、ベトナム側と会談したときに、生産者が主役だという点をどうみるかという問題について、コルホーズが引き合いに出されていたので、的場さんの本の記述と結びついたわけです。

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