東西古今の文化の潮

別に早稲田の話じゃありませんが。
福永光司の『「馬」の文化と「船」の文化』(人文書院、1996年)です。著者はもともと道家思想の専門家だったのですが、定年退職をして故郷の大分にもどってから、日本に中国の文化がどのように入ってきたのかを、テーマとしてきたのです。そこには、自分の戦場での体験などもあり、「日本文化」を言い立てる方面への反発もあるようです。
そこで、この本では中国にある北の文化(馬)と、南の文化(船)を紹介し、それが日本にそれぞれはいってきているのだということをさまざまな形で紹介する文集です。
そのなかで、中国の南北のちがいを紹介しているのですが、お日さまを男と見るのが北方で、女性とみるのが南だというのです。たしかに『太陽』ということばは男性をさしているのだと、あらためて認識しました。
そういう、南北の文化が日本に流入して、今の日本文化ができあがってきたということを考えると、『日本独自』をいいたてることのむなしさがよくわかります。「つくる会」的発想に対抗するためにも、こういう視点は大切なのでしょう。