箸休め

集中して読んでいるものがあるので、その合間に読んだのが、日経ビジネス人文庫の〈私の履歴書〉シリーズのなかの『最強の横綱』です。双葉山(時津風)・若乃花(二子山)・大鵬の三人のものが収録されています。時津風さんのがやや今の時点から見ると短いのが少し残念ですが、それぞれの時代の相撲のありようがわかります。
その中で、大鵬さんのは、2000年に新聞に連載されたものを収録してあるのですが、ここで大鵬さんは自分の父親について触れています。いわゆる〈白系〉と呼ばれた、亡命してきた人が父親だったというのです。こうしたことを書けるようになったのも、時代の流れなのかもしれません。現役当時には、そんなことはうわさのレベルではあったのかもしれませんが、おおっぴらにはできなかったのでしょう。そういうことへの偏見がなくなりつつあることのあらわれだとよいと思うのです。外国出身力士も、相撲社会のしきたりの中で生きていけば、そこに適応して伝統を守る立場になっていくのですね。(もちろん、そのしきたり自体が封建的だという議論はあるでしょうが、相撲という競技の特性もありますから)
そういう点で、考えるところのあるものでした。