勝ち負け

持ち越しになっていた、エンゲルスの手紙のことです。
例の、「バルザックは王党派」どうのこうのというやつですが、あそこの重点は、歴史の流れのなかで退場していく階級ということを、作者(バルザック)も感づいていたのではないでしょうか。
変なたとえかもしれませんが、選挙をやっていると、その中で、「これは勝てない」とわかるときがあります。もちろん、勝てないから何もしないという態度では、ますます勝てなくなるわけですから、たとえそんな状態でも、やるだけのことはやるわけです。
バルザックも、自分が共感をもつグループが、最終的には歴史の審判をうけて世の中の主流からはずれていくことを感じ取っていたのではないでしょうか。そこにリアリズムが存在するのだと思います。
だから、1930年代に、この手紙を、世界観はどうでもいいという主張のために援用した人たちは、自分の「共感する」立場のゆくすえを見ようとしなかったのでしょう。