文字の印象

現代日本文学論争史』の中巻までいきました。
芸術的価値の問題や、社会主義リアリズム受容の問題など、けっこう当時の問題で注目すべきものもあって、そういう意味では考えさせるものもあるのですが、少し本筋からはずれるかもしれませんが、気になったこと。
今回、未来社はこの復刊に対して、新字新かなをベースにしてあらためて版をおこしています。最近の動向からして、それはそれでしょうがないとも思うのですが、学の字は旧字体のままだったりするなど、そのへんの方針がよくわかりません。
とくに気になるのが、「日本浪漫派」という表記です。全部これになっているので、わざとやっているのだとは思うのですが、なじめない。
〈曼〉の字の、横に広がった姿が、この一派の、世間への広がりをあらわしているようで、実はけっこう意味のある字ではないかという感じもするのだし、何より、雑誌のタイトルなんだから、軽々しく字体を変えていいものではないだろうと思うのですが。〈芥川竜之介〉という表記に違和感を覚えるのと、大差ないレベルの話で、本質とはあまり関係ないものではあるでしょうが。