碩鼠碩鼠

満州 楽土に消ゆ』(神奈川新聞社、2005年、ISBN4876453667)です。
山形県出身の少年が、満蒙開拓義勇軍に志願して、開拓地に行き、そこで召集されて憲兵になり、終戦のときに、高官や家族を引き揚げさせる列車の警備役として日本に帰還し、定年後に、「中国残留孤児」たちのために尽力している生涯を、神奈川新聞の人たちが聞き書きをしながらまとめた本です。そのため、著者も神奈川新聞の報道部になっています。
あの、おじいちゃん子のひとに読んでもらって、日本が『満州』で何をしたのかについて、真剣に考えてほしいと思うものです。
農村の少年が、(彼の家は農家ではないのですが)開拓にあこがれ大陸にわたる。そこで、知らず知らずのうちに、中国の人が既に耕していた土地を、自分たちの開拓すべき土地だと思って知らずに耕作する。
そういう実態もあれば、引き揚げのときの悲惨なできごともある。そういう、これこそ「教科書が教えない」歴史のひとこまです。
地方出版なので入手しにくいかもしれないので、書籍コードも書いておきました。
とても『重い』本です。かえって紹介しずらい。