忘れてはいけない日

9月18日は、もちろん「柳条湖事件」の日です。
そういうわけなので、〈満洲〉に関するものでもと思ったのですが、タイミングが悪くて。
中村真一郎さんの『建礼門院右京大夫』(日本詩人選、筑摩書房、1972年)を読んでいたのです。清盛の娘で高倉天皇に入内した建礼門院に仕えていた彼女は、清盛の孫の資盛と恋仲になります。しかし、平家一門の都落ちで彼女は、永遠の別れを強いられます。いくさが終わり、彼女はかつての恋の思い出を書き綴るのです。
中村さんは、あとがきのなかで、戦時中にこの本がよく読まれたといっています。それは、当時の若者たちが、彼と彼女の運命に自分を重ねていたのではないかと中村さんは推測します。
古典というもののもつ、多様な読み方を許す広さを、ここから感じ取ることができるのでしょう。和泉式部も、そうした面から読み直してみたいものです。
満洲〉ではありませんが、時代の流れということも、少しは感じたのかもしれません。

これが100回目の記事だと思います。これからもよろしく。