記念号は分厚い

『群像』は創刊60周年記念号。なので、短編特集ということで、分厚いものになっています。いっぺんに全部読めないので、少し拾い読み状態ですが、紹介しましょう。
李恢成さんの「冷蔵庫」は、作者が『アリランの歌』の共著者、ニム・ウェールズさんに会ったときのことを中心にした話です。以前、『死者と生者の市』(だったかな)で触れたテーマを再び持ってきたというところでしょうか。
リービ英雄さんは、中国の高速道路の現状を題材に、今の中国のありようをスケッチ風に。
中沢けいさんは、体を動かすたびに変な音が出るようになった夫を見つめる妻という、微妙な視点からの作品。
と、とりあえず、読んだのですが、短編なりのおもしろさはそれぞれあるものだと思います。でも、李さんのは少し苦しいかな。
大江健三郎平野啓一郎との対談で、大江さんは、今の自分が71歳で、若い人と対談している。将来、『群像』が100周年を迎えたときに、あなたが71歳で、そのときの若い作家と対談するんですよ。と、平野さんにハッパをかけています。そんなに彼に期待しているのですね。