選択を迫る

橘木俊詔さんの『アメリカ型不安社会でいいのか』(朝日選書)です。
彼は、日本はどちらかというと共生をめざすヨーロッパ型の社会のほうがいいのではという意識をもって、その点からの今後の改革案を提示しています。
格差社会の存在が公然と肯定される状態を、必ずしもいいと思っている人ばかりではないのでしょうが、その対策が、たとえば橘木さんは、基礎年金夫婦で月額17万円を保障し、その上は民間の年金保険にまかせるべきだ、基礎年金の財源には税金方式が保険料方式よりもふさわしいので、とりあえず消費税率をあげて対応する、将来的には、家計支出額(収入から貯蓄を引いた額)におうじた税負担を考える必要がある。(そのためには納税者番号制を導入して、貯蓄額をきちんと捕捉する)というような体系化がされています。
もちろん、すべてを納得する必要はないのですが、そうした未来像も含めた議論をしなければならないというのも、わからなくはありません。
ただ、その政策決定のための選択肢が、「社民党が西洋社民になって、共産党が左翼主義をすてる」という言い方をしたうえでの政界再編というのはいかがでしょう。やや短絡的なとらえかたをしているようにも見えます。もう少し、政党の実態をみてほしいと、そこまで要求するのは酷なのかもしれませんが。