裏時評です

しんぶんに時評が載ったので、書ききれなかったことを。
金原ひとみ青山七恵については、すでにこのブログで言及したので、ここでは再論しません。
丹羽郁生さんの「杭を打つ」ですが、主人公のまわりに〈組織〉がほとんど出てきません。組合は少しは出てくるのですが、あの主人公は、政党の機関紙を購読しているのですが、その政党の人がまったく出てこない。そういう機関紙を購読するにいたったいきさつがあって、それは作品に描かれた時期には、その政党との主人公のかかわりがどこかで必要だったのではないかと思います。そこを書くことで、より深くなったのではないか。
あと、まったく別の話題ですが、『すばる』の連載「所有の誕生」(宮武久佳)で、外国の画家をまねた人のことが取り上げられていましたが、そろそろ『すばる』誌上でのマンガからの盗作騒動からまる1年たつので、それに対しての言及もあってもよかったかと。ただし、連載は継続中なので、これから扱うのかもしれないけれど、何かまわりくどい印象が、この連載からはしています。