私たちだけだとしたら

『広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由』(青土社)です。
ウェッブというイギリスの物理学者のひとが、2002年に出した本の翻訳です。
地球外の知的生命体が地球に現れた痕跡もなく、地球に連絡をとった形跡もなく、地球を無視して存在している様子もみられないのはなぜかと、考えたものです。
それを考えることは、惑星とはなにか、生命とはなにか、文明とはなにか、というように、単に物理や生物だけでなく、存在のありかたにまで問いかけてきます。
最先端の科学の成果にもふれられますし、人間がいま地球上でしようとしていることについても、考えさせられるのです。
地球温暖化などの傾向に対して、〈そういうことを問題視するのは人類にとっての環境悪化しか考えない思考であって、そういう条件のほうが生育しやすい生命体もあるという多面的な思考が大切だ〉といって、一見人間のエゴをとがめるような議論があります。しかし、地球上で、自分の存在について思索し、他の天体と交信することを試みている生命が人間しかないことを考えると、〈人間が滅んでもなにかの生命が生き残るから環境破壊を気にする必要はない〉と論じる考え方のほうが、生命や環境に対しての傲慢さがあるような気がします。